強度近視の場合、レーシックは適応の範囲を超えて受けられないことがあります。日本眼科学会のガイドラインでは強い近視は慎重に適応を判断する対象や禁忌とされ、角膜を削る量や角膜の厚さに制約があるためです。受けられない場合は、角膜を削らないICL(眼内コンタクトレンズ)などが選択肢になります。最終的な可否は適応検査で決まります。
この記事でわかることは次の3点です。
- 強度近視でレーシックが受けられるかの目安
- 受けにくい理由(度数・角膜)
- ICLなど他の選択肢と選び方

強度近視とレーシックの基本を整理する
強度近視とレーシックの関係において重要となるのは、「近視が強いほど、レーシックで矯正できる範囲に限りが出てくる」という事実です。レーシックは角膜を削って近視を矯正する手術であり、近視が強いほど削る量が増えるという性質があります。そのため、まずは強度近視がどのくらいの近視を指すのか、レーシックがどのような仕組みの手術なのかを整理しておくことで、なぜ度数が問題になるのかが明確になります。
強度近視とはどのくらいの近視か
近視の強さは「ディオプター(D)」という単位で表されます。一般に、-6.00Dを超えるような強い近視を強度近視と呼びます。 強度近視は、単に度数が強いというだけでなく、将来的な目の病気のリスクにも関わることが知られています。日本眼科学会の解説でも、近視の程度は目の状態と関わりのある要素として扱われています。 そのため、矯正方法を選択する際は、度数の強さを踏まえた慎重な判断が必要となります。
レーシックは角膜を削って近視を矯正する手術
レーシックは、エキシマレーザーで角膜の形をわずかに削り、光の屈折を変えることでピントを合わせ直す屈折矯正手術です。目の表面にある角膜のカーブを整えることで、メガネやコンタクトレンズを使わなくても焦点が合うようにします。 明確にしておくべきは、近視が強いほど、矯正のために切除する角膜の量が増加することです。 この「削る量」と「角膜の厚さ」の関係が、強度近視で適応の問題が生じる背景となります。
強度近視でレーシックが受けにくい理由
強度近視でレーシックが受けにくくなる理由は、大きく分けて「度数の目安」と「角膜の制約」の2つです。日本眼科学会のガイドラインでは強い近視に対して適応の基準が設けられており、さらに近視が強いほど削る角膜の量が増えるため、角膜の厚さが足りないと安全に手術できないことがあります。
ガイドラインで定められた度数の目安(慎重適応・禁忌)
日本眼科学会の「屈折矯正手術のガイドライン」によれば、レーシックは-6.00D以上の強度近視については、慎重に適応を判断する対象とされています。さらに、-10.00Dを超える強度近視は、原則として手術の対象外(禁忌)とされています。 ただし、これはあくまで目安です。度数が基準に近いからといって一律に可否が決まるわけではなく、個別の判断は検査によって行われます。 数値のみで適応の可否を自己判断することは避ける必要があります。
角膜の厚さ・削る量の制約
近視が強いほど、矯正に必要な角膜の削除量が増えます。そのため、角膜の厚さや形状が一定の条件を満たさないと、安全に手術を行うことが難しくなります。角膜の厚みが足りない場合には、適応外と判断されることがあります。 無理に多くの量を削ると、角膜が薄くなりすぎるなどの問題につながり得ます。こうしたリスクを避けるために、削る量や残る角膜の厚さについての基準が設けられています。
強度近視でレーシックが受けられるかどうかは、度数のみで決まるものではありません。角膜の厚さや形状、目全体の状態を含めた精密検査によって、総合的に判断されます。正確な適応可否を判断するためには、専門の医療機関で適応検査を受けることが不可欠です。
受けられない場合の選択肢|ICLなど
レーシックが難しい強度近視であっても、視力矯正の選択肢がなくなるわけではありません。代表的な代替案として、角膜を削らずに矯正を行うICL(有水晶体眼内レンズ)が挙げられます。加えて、外科的手術を伴わないメガネやコンタクトレンズによる矯正も引き続き有効な手段です。
ICL(有水晶体眼内レンズ)という方法
ICLは、角膜を削ることなく、目の中に小さなレンズを挿入して近視を矯正する術式です。角膜の厚さに左右されにくいため、強度近視であっても適応可能となるケースが多いとされています。 日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)の情報においても、有水晶体眼内レンズは屈折矯正における有力な選択肢の一つとして位置づけられています。 なお、ICLは原則として自由診療(保険適用外)であり、費用は全額自己負担となります。適応の可否や詳細な術式については、事前の精密検査と医師による解説を経て確認することになります。
メガネ・コンタクトレンズという選択肢
手術を伴わない、メガネやコンタクトレンズによる矯正を継続することも引き続き有効な選択肢です。屈折矯正手術はあくまで手段の一つであり、必ずしも受けなければならないものではありません。 生活スタイルや目の状態、費用面への考え方に合わせて、最適な方法を検討することが推奨されます。

レーシックかICLか|選び方と決め方
レーシックとICLのどちらを選択すべきかは、術式の優劣ではなく、「自身の目の状態にどちらが適合するか」という観点から総合的に判断するのが基本です。度数や角膜の状態によって適したアプローチが異なり、最終的な適応の可否は適応検査と医師によるカウンセリングによって決定されます。
度数・角膜の状態で適した方法が変わる
一般的な傾向として、近視の程度が軽度から中等度であり、かつ角膜の厚みや形状などの諸条件を満たしている場合は、レーシックが第一選択肢となり得ます。一方で、強度近視である場合や角膜が薄い場合には、ICLが適応しやすいとされています。 これは術式の優劣ではなく、個々の目の状態によって適した選択肢が異なることを意味します。
最終的な可否は適応検査と医師カウンセリングで決まる
どの方法が適しているかは、精密な適応検査を経て初めて客観的に判断されます。適応検査では、屈折度数、角膜の厚さや形状、さらに目全体の健康状態などを詳細に調査します。 その上で、それぞれの術式におけるリスクや費用について医療機関から十分な説明を受け、納得した上で判断することが大切です。インターネット上の情報のみで自己判断せず、専門の眼科医による診察とカウンセリングを経て決定することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 強度近視でレーシックを受けると、将来的にまた視力が落ちる(近視戻り)リスクはありますか?
レーシック後、時間の経過とともに近視が一部戻る「近視の戻り」が起こる場合があります。一般に、近視が強いほど角膜を切除する量が多くなるため、強度近視では戻りが起こりやすい傾向があるとされています。戻りの程度には個人差があるため、事前の適応検査において医師へ確認することが推奨されます。
Q. ICLの目の中のレンズは寿命がありますか?将来的に交換やお手入れは必要ですか?
ICLは目の中に固定するため、コンタクトレンズのような毎日のお手入れは不要です。基本的には長期間そのまま使用できるとされていますが、度数が大きく変わった場合や将来ほかの目の手術を受ける場合などには、レンズを取り出したり入れ替えたりすることが可能です。詳細な治療計画や将来的な対応については、医師の説明に基づき確認する必要があります。
Q. レーシックやICLは保険が使えますか?
レーシックやICLなどの屈折矯正手術は、原則として自由診療(保険適用外)です。そのため、費用は受診する医療機関によって異なります。具体的な金額については、あらかじめ受診を希望する医療機関へ問い合わせることが適切です。
まとめ|強度近視は適応を確かめて選択肢を比べる
強度近視では、レーシックが慎重に適応を判断する対象や禁忌となり、受けられないことがあります。その背景には、度数に応じて増える角膜の削除量や、角膜の厚さの制約が存在します。
受けられない場合は、角膜を削らないICLなどが有力な代替案となります。どの方法が適しているかは度数や角膜の状態によって異なり、最終的な可否は適応検査と医師のカウンセリングによって決定されます。
まずは専門の眼科で適応検査を受診し、自身の状態に適合する選択肢を比較・検討することが重要です。
参考文献
コメント