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ICLができない人の特徴|適応外となる条件と受けられない理由を解説

ICL(有水晶体眼内レンズ)には適応条件があり、年齢・目の構造・近視や乱視の度数・特定の眼の病気などによって受けられない場合があります。ただし「絶対的に受けられない」条件と、「一時的、または再検査や時期を置くことで対応できる可能性がある」条件は分けて考える必要があります。最終的な適応可否は、精密検査と医師の判断によって決定します。

この記事では、次の3点についてわかりやすく解説します。

  • ICLができない人の主な特徴と、適応外となる条件
  • なぜその条件だと受けられないのかという医学的な理由
  • 「自分は適応外かもしれない」と感じたときの確認方法と、次の一歩

ICLができない人の特徴|適応外となる条件と受けられない理由を解説

ICL(有水晶体眼内レンズ)には「適応条件」がある

ICLは誰でも受けられる視力矯正方法ではなく、安全性と効果を確保するための適応条件が定められています。目の中にレンズを入れる手術である以上、目の構造や状態によっては、レンズを安全に収められなかったり、十分な効果が見込めなかったりする場合があるためです。日本眼科学会の屈折矯正手術のガイドラインでも、適応となる条件や避けるべき条件が明記されています。まずは「適応条件がある」という前提を理解したうえで、具体的にどのようなケースが対象外となるのかを確認します。

ICLとはどんな矯正方法か(簡単なおさらい)

ICLは、目の中にレンズを入れて近視や乱視を矯正する治療法です。角膜を削るレーシックとは異なり、虹彩と水晶体の間にやわらかいレンズを挿入するため、コンタクトレンズのように毎日の着け外しを行う必要はありません。

治療費については、ICLは公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)にあたります。一方で、一定の要件を満たせば確定申告の際に医療費控除の対象となる場合があります。費用や制度の詳細は、受診する医療機関へ事前にお問い合わせください。

なぜ「できない人」がいるのか

ICLは、眼内に器具を用いてレンズを挿入する外科手術です。そのため、目の構造や状態によっては安全性や術後の視力安定性を確保できない場合があり、厳格な適応基準が設けられています。

たとえば、レンズを収めるスペースが十分にない目や、目の表面・内部に疾患がある場合は、手術による合併症のリスクが高まる恐れがあります。こうしたリスクを未然に回避するために、日本眼科学会のガイドラインに沿った基準が用いられます。

なお、「レーシックは角膜が薄い、または近視が強すぎて無理」と診断された方でも、ICLであれば対応できるケースがあります。ただし、ICLにも対応可能な度数の上限・下限が存在するため、両者の適応条件を混同しないよう注意が必要です。

ICLができない人の特徴①|目の構造による条件

ICLができない条件のうち、まず確認すべきなのが目の構造に関わる要素です。具体的には、前房深度(角膜と水晶体の間のスペース)が浅い、角膜内皮細胞の数が少ない、円錐角膜など角膜の形状に異常がある、といったケースが挙げられます。これらはいずれも外見からは判断できず、適応検査を受けて初めて明らかになる項目です。それぞれの理由について解説します。

前房深度が浅い(目安として2.8mm未満)

前房とは、角膜の内皮面から水晶体の前面までの空間を指します。ICLはこの空間にレンズを挿入するため、この空間が狭すぎるとレンズを安全に配置できず、眼圧上昇などの合併症を引き起こすリスクがあります。

一般的に、前房深度2.8mm未満は不適応の目安とされ、3.0mm以上が望ましいとされています。ただし、これらの数値はあくまで指標であり、測定機器や眼の状態によって数値が変動することもあります。

角膜内皮細胞数が少ない

角膜内皮細胞は、角膜の透明性を維持する重要な役割を担う細胞です。この細胞は一度減少すると再生しないという特徴があり、細胞数が減少した状態で手術を行うと、将来的に角膜が混濁するリスクが高まります。そのため、角膜内皮細胞数は適応を判断する際の極めて重要な指標です。

角膜内皮細胞数は、健康な目でおおむね2500〜3000個/mm²程度が一つの目安であり、専用の検査機器で測定します。適応の判断に用いる基準値は年齢によっても異なるため、最終的な適応可否は医師が総合的に判断します。数値がボーダーラインにある場合でも、1回の検査結果だけで諦めず、再検査や他院での確認を検討することも選択肢の一つです。

円錐角膜など角膜の形状・状態に問題がある

円錐角膜とは、角膜が薄くなって前方へ突出し、形状が不規則にゆがむ疾患です。とくに進行性の円錐角膜は、ICL手術の絶対的適応外(禁忌)に指定されています。

円錐角膜の初期段階は自覚症状が出にくく、角膜の形状を詳しく調べる角膜形状解析などの精密検査で初めて判明することも少なくありません。過去に指摘された経験がない場合でも、事前の適応検査によって詳細に確認する必要があります。

ICLができない人の特徴②|近視・乱視の度数による条件

ICLは幅広い度数に対応できる視力矯正方法ですが、レンズが対応できる度数には一定の範囲があります。近視や乱視が非常に強い場合には、レンズの製造範囲を超えてしまい、適応外となることがあります。度数に関する条件は誤解されやすいポイントであるため、近視と乱視に分けて解説します。

近視が強すぎてレンズの度数範囲を超える

ICLのレンズには対応可能な度数に上限が存在するため、極度な強度近視では対応しきれないケースがあります。強度近視に適した矯正方法ではあるものの、度数には一定の限界があります。

なお、日本眼科学会のガイドラインでは、中等度近視(-3.0D〜-6.0D未満)は慎重に適応を判断する範囲に位置づけられており、それ以上の強度近視が主な適応対象です。自身の度数がどの区分に該当するかは、精密検査に基づき医師が判断します。

乱視が強すぎて対応レンズの範囲を超える

乱視についても同様に、ICLには乱視用レンズが用意されているものの、矯正可能な度数には上限があります。乱視が極めて強い場合はその範囲を超えてしまい、手術の対象外となることがあります。

近視と乱視のどちらか一方のみでなく、両方の度数を総合的に組み合わせて適応を判断するため、自己判断での見極めは困難です。度数が許容範囲内にあるかどうかは、適応検査によって正確に確認する必要があります。

ICLができない人の特徴③|目や全身の状態による条件

目の構造や度数に問題がない場合でも、眼疾患の有無や年齢、妊娠などの身体的状況によって適応外となる場合があります。ここで重要なのは、「絶対的に受けられない条件」と「一時的、または時期を置くことで再検討できる条件」を区別して考えることです。たとえば妊娠中や授乳中は一時的な不適応であり、生涯にわたる禁忌とは性質が異なります。具体的な条件は以下の通りです。

緑内障・白内障・目の炎症などの眼疾患がある

眼疾患を抱えている場合は、ICLの適応外となる可能性が高まります。具体的には、高眼圧症や緑内障、進行した白内障、ぶどう膜炎をはじめとする眼内の炎症性疾患などが挙げられます。

また、重度のドライアイがある場合も、手術前後の涙液環境や角膜への影響を考慮し、慎重な判断が求められます。ただし、ドライアイの症状があるからといって直ちに受けられないわけではなく、その程度や炎症の状態によって医師が個別に評価します。

年齢が適応範囲外(おおむね21歳未満・45歳以降)

年齢も適応を判断するための重要な要素の一つです。視機能が成熟しきっておらず視力が安定しない若い年代では、近視の度数が進行する可能性があるため、手術の時期を慎重に見極める必要があります。日本眼科学会のガイドラインでは、原則として21歳以上が適応の目安とされています。

一方、45歳以降になると老眼の発症や水晶体の経年変化(初期の白内障など)が現れ始めるため、ICL以外の矯正方法も含めて総合的に検討することが推奨されます。年齢の基準は医療機関やガイドラインによって多少の幅があるため、具体的な適応可否は医師にご相談ください。

妊娠中・授乳中(一時的な不適応)

妊娠中や授乳中は、体内におけるホルモンバランスの変化に伴い、屈折値(近視や乱視の度数)が一時的に変動しやすくなります。度数が不安定な時期に手術を行うと正確な視力矯正が困難になるため、この期間の手術は避けるのが一般的です。

ただし、これは一時的な不適応であり、出産や授乳が落ち着き、度数が本来の状態に安定した段階で改めて適応検査を受けることが可能です。一時的な不適応と診断された場合でも、将来的な手術の可能性まで否定されるものではありません。

妊娠中・授乳中(一時的な不適応)

「ICLができない」と言われた・不安なときの確認方法

「自分は適応外かもしれない」と感じても、すぐに諦める必要はありません。適応可否は、複数の検査項目を組み合わせた精密検査と医師の総合的な診断によって決定するためです。ここでは、不安を感じた際に取るべき確認の手順と、万が一適応外と診断された場合の選択肢について解説します。

自己判断で諦めず、適応検査で確認する

ICLを受けられるかどうかは、前房深度・角膜内皮細胞数・角膜形状・近視や乱視の度数といった複数の項目を、適応検査によって総合的に確認して判断します。インターネットの情報や一部の数値だけで自己判断するのは難しく、実際に精密検査を受けてみないと判明しない部分が多くあります。

ドライアイや漠然とした不安がある場合も、それだけで直ちに不適応と決まるわけではありません。検査結果と医師の具体的な説明をもとに判断されるため、気になる点がある場合こそ、まずは事前の適応検査を受け、医師へ直接相談することをおすすめします。

適応外だった場合の選択肢

検査の結果、ICLが適応外と判断された場合でも、視力矯正の選択肢が完全になくなるわけではありません。従来通りの眼鏡やコンタクトレンズの装用を継続することはもちろん、目の状態によっては他の屈折矯正手術などを検討できるケースもあります。

どの矯正方法が適しているかは目の状態によって異なり、専門医による的確な診断が必要です。一つの検査結果だけで結論を急がず、疑問やご希望を医師に伝えたうえで、最適な方法を一緒に模索していくことが大切です。

よくある質問(FAQ)

ICLはやめたほうがいいと聞きますが本当ですか?

ICLにはメリットとデメリットの両面が存在し、一概に「やめたほうがいい」と断定することはできません。適応条件を満たしているか、目の解剖学的な状態はどうか、信頼できる医療機関で受けるかなど、さまざまな要素を総合的に踏まえて判断すべきものです。疑問や不安がある場合は、事前に医師とのカウンセリングで十分に相談し、納得した上で判断することが重要です。

強い近視でレーシックを断られましたがICLもできませんか?

レーシックが適応外と診断された方でも、ICLであれば対応できるケースがあります。ただし、ICLにも対応可能な度数の上限が設けられているため、必ず手術を受けられるとは限りません。実際に可能かどうかは、適応検査を通じて医師が厳密に判断します。まずは専門の検査で確認することをおすすめします。

適応検査だけ受けることはできますか?

多くの医療機関で適応検査を実施しており、検査のみを受けて適応可否を確認することが可能です。適応検査を受けることで、前房深度や詳細な度数といった自身の目の状態を正確に把握できます。なお、検査費用や所要時間は医療機関ごとに異なるため、事前の確認が推奨されます。

まとめ|適応可否は検査と医師の判断で確認を

ICLができない条件には、大きく「目の構造」「近視・乱視の度数」「目や全身の状態」の3つがあります。さらにこれらは、進行性の円錐角膜のように絶対的に受けられないものと、妊娠中・授乳中による一時的なものや、検査数値がボーダーラインのため再検査で対応できる可能性があるものに分類されます。

大切なのは、断片的な情報だけで自己判断せず、最終的な適応可否は精密検査と医師の診断によって確認することです。「自分は該当するかもしれない」と感じたら、まずは適応検査やカウンセリングという次の一歩を検討してみてください。

参考文献

日本眼科学会 屈折矯正手術のガイドライン(第8版)

日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)有水晶体眼内レンズ情報 ICLを考えている方へ

日本眼科学会 一般のみなさまへ

この記事の監修者

タワーリバーク眼科 院長

大塚宏之

略歴
  • 1989年 山梨医科大学卒業(現山梨大学医学部)
  • 1989年 駿河台日大病院(現日本大学病院)眼科
  • 1991年 日本大学大学院医学部外科系眼科学入学
  • 1994年 眼科専門医取得
  • 1995年 日本大学大学院医学部外科系眼科学卒業(医学博士取得)
  • 1995年 松井病院眼科部長(出向)
  • 2020年 オンライン診療研修 修了(厚生労働省指定)
所属学会
  • 日本眼科学会
  • 日本眼科医会
  • 日本眼科手術学会
  • 日本白内障屈折矯正学会
  • 米国眼科学会
  • 米国白内障屈折矯正学会
  • 欧州白内障屈折矯正学会
  • 川崎市医師会理事

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